私の話を聞いて、「それは市長に直接陳情するのがいいよ」とアドバイスをくれたおじいさんは、その場ですぐに市長室に電話を入れてくれ、あっという間に訪問が決まってしまいました。(市長さんに会うって、そんなに簡単なことなの?)と驚いたと同時に、(市長さんとどうやって話をしたらいいんだろう??)と頭の中は「ハテナ」だらけ。とりあえず、「project J」関係者に報告し、作戦を練ることにしました。
ひきこもりの関連施策等の資料を読み漁り、某市の福祉計画も熟読。自分たちの考えていることは、市が課題として取り組んでいこうとしている内容と違わないことを確認し、「自分たちにはこんなことができますよ。こんな事業計画ですよ」と紙にまとめました。
それだけの準備をした後に、「首長と話をするときって、何かマナーとか必要なのかねぇ?」ということになり、「そういえば、政治家秘書の知り合いがいるから、その人に聞いたら教えてもらえるのではないか」ということに気づき、市長室訪問の数日前にお目にかかることになりました。
「あの、実は私、今度市長さんに会うことになったんですけど、今までそんな経験したことがないし、どうやってお話したらいいかわからないんです。気を付けた方がいいこととか、ありますか?」
海千山千の大物政治家秘書さんは、落ち着いた様子でいいました。
「権力者と話すからって、特に気を遣うことはないよ。自分の考えていることを、ありのまま話してくればいい」。
(意外とそんなものなのか)と思って少し気持ちが楽になり、私は仲介者のおじいさんと2人で市長室に行くことにしたのでした。