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効果的な就労支援の提案~働くことに困難を抱える人と働き手を必要としている人をつなぐために~⑦

社協の偉い人たちは、「生活困窮者自立支援制度は現在の職員では到底できる仕事ではない」と思ったようで、市から委託の話が出ていたこともあって、私を採用することを決めたようです。

本当は仲間のプロフェッショナル達と一緒にやりたかっただけに、大変不本意な結果でしたが、「頑張って結果を出して、仲間を呼ぼう」と決めて、私はそちらに転職することにしました。

しかし、この選択は、私には誤りだったかもしれません。

様々なことを学ぶいい機会だったと言えなくもないですが、思い出したくもない不誠実なことがいくつも起こりました。

社協から4名の職員が市に出向し、2名の市の職員と一緒にこの事業に取り組むことになっていたのですが、初めて制度についての勉強会をした時に感じた不安と絶望は、今も忘れられません。有資格者とはいえ、事務作業メインで専門的トレーニングを受けていない素人に毛が生えたようなケース対応慣れしていないワーカーたち(中途半端に経験がある分自己流が身についていて質が悪かった)と「現場命」「クライエントファースト」でやってきた心理専門の私とでは、まったく話が嚙み合いませんでした。

(この人たちとこれから一緒にやるのか)と愕然とし、(これは困ったことになった)と思いました。

でも、仲間と一緒にやるためには、がんばらないといけません。

市の職員たちに「専門職という人がどういう人種なのか」を理解してもらうところからやらなければならないのです。

これまでの自分のキャリアを生かすどころか、自分の専門性を知ってもらい、自分の専門業務ができるよう整えるところからやっていかなければならなかったのです。

しかも、行政は年功序列。いかに私が外部で経験を積み、専門スキルを有していても1年目の雑巾がけから入るのです。彼らよりも私の方が適切な判断と対応ができるのに、私の方が下っ端で素人の意見が重用されることを目の当たりにするのは、苦痛以外の何物でもありませんでした。悪い結果が起こるとわかっていることを止めることができないのです。

また、心理の仕事はやらせてもらえず、「専門的なことは必要としていないからやるな」と言われ、「専門職を雇っておいて、専門業務は必要としていないということは、私は必要のない人間と言われているのと同じことだ。なら、なぜ採用したのか」と上司に詰め寄ったこともありました。

でも、私の気持ちなんて誰も気にしないのです。

「ここであなたのやりたいことはできないから、病院に帰れ」という人もいました。

私は、何のために転職してきたのだろう。

「大いに専門性を発揮してくれ」と言われたから転職したのに、世の中はここまで不誠実なのかと体がもぎとられるような痛みを覚えたことは数え切れません。

でも、苦労を引き受ける覚悟をして転職したわけで、簡単に投げ出すわけにはいかないとあの頃は思っていました。(行政はそういうところだから)とあきらめてはいけなかったし、その体質に染まることだけはしたくありませんでした。専門職として頑張ってきた自分の歴史をなかったことにもしたくありませんでした。

では、自分のことを理解してもらうために何をすることができるのか。

考えに考えた結果、「政策研究」に挑戦することを決めました。